研究所長の日誌-No.004 : 時間を費やすということ

 

年々時が経つのを早く感じるようになり、あっという間に三月も終わりです。

 

 

あたりまえのことをふと思いますが、設計の仕事は良い建築物を完成させるために提案と検討と再考を重ねていくのですが、設計中の建物は当然工事は進んでいないので、何らかの理由で時間の制約がない以上、続けようと思えば延々と続けられる仕事なのだと思います。

 

 

さて、自身が関わった仕事というのはその内容に関わらず“思い入れ”があるものです。私はその本質は時間を費やしたことにあるのではないかと思っています。

 

 

近年ますます時間をかけることが非合理的で悪しきことのように取り扱われる場面が増えてきているように感じます。

場合にもよりますが私自身はそうでないことの方が多いと考えています。

 

 

これはモノづくりにおいてもさることながら、人とのかかわりにも言えることだと思います。

 

 

例えば、出席番号が近い、あるいは座席が近い、背の順で並ぶと近い同級生とは、仲良くなりやすいと感じたことはないでしょうか。

普段は血がつながっていることなんて頭で考えることはないのに、家族が温かく信頼できる存在だと感じることはなぜでしょうか。

 

 

私はこの答えの一つとして、自分がその対象とどれだけの時間向き合っているかということにあると考えています。

 

 

大切なモノ、大切な人、大切な存在は急にできるものではありません。

それは自分自身が時間をかけてそれと向き合って、自分自身でつくっていくものだと思います。

 

 

住宅などで相談から引き渡しまで1年かかることは珍しくありません。設計・監理の仕事というのは少なくともその期間はずっとその建物のことを考えることになります。おそらく施主を含め工事に関わるすべての人の中で、必然的に一番その建物について考えている人になろうかと思います。

 

 

私はこの仕事に誇りと責任をもって真摯に向き合い続けて、いつか私自身の周りが大切な存在であふれていることを願っています。

 

 

 

 

代表 / 園田 泰丈