研究レポート-No.004: 視点を設定する

 

島根県の出雲大社が60年ぶりに大遷宮を行うということで見学に行った時のことです。

 

一時的に御神体が仮設の本殿に移されているとのことで、普段は誰も入れない本殿の中を見学することが出来ました。

 

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写真はその際に立ち寄った、出雲大社のすぐ近くにある島根県立古代出雲歴史博物館の遊歩道です。

 

槇文彦先生の設計されたこの建物は博物館の部分を中心とし、そこから正面玄関のアプローチ部分や休憩スペースなどが細長く突き出しているような平面構成をとっています。

そのためどこから見た時の外観も直線的で伸びやかな印象を与える部分が目に入るようになっています。

 

また、広い敷地を利用しシンプルで贅沢なエクステリアをデザインしているため、敷地内のどこに立ってもその伸びやかな空間構成が感じられるものになっています。

 

この写真は正面からでなく、出雲大社側から来た際の方向で撮ったものだったと思います。

絵にかいたような一点透視図の光景がとても綺麗でとっさに写真として切り取ったのを覚えています。

 

このような場所に限らず、様々な建築や都市空間の体験の中で、私は設計時に視点を設定することを覚えました。

平面図の実生活の動線上に視点を設定して、そこから切り取れる光景をつくっていく。そのため基本計画の平面図を書いているときが一番平面図のことを考えていない時間といってもよいかもしれません。

 

間取図を見た時に間取り以外のものがどれだけ魅力的に見えてくるか、これが私の建築の見方の一つです。

 

 

代表 / 園田 泰丈